ドミニク・チェン
『未来をつくる言葉』

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  • 発表者: KLiS 2年 清宮 亮太郎

著者について

ドミニク・チェン (Dominique Chen)

  • 情報学者

  • トリリンガル (日・仏・英)

  • 隠れ吃音

  • 人とテクノロジー、自然の関係を研究

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本の目次

  • 第一章 混じり合う言葉
  • 第二章 デジタルなバグ、身体のバグ
  • 第三章 世界を作る
  • 第四章 環世界を表現する
  • 第五章 場をデザインする
  • 第六章 関係性の哲学
  • 第七章 開かれた生命
  • 第八章 対話・共話・メタローグ
  • 第九章 「共に在る」ために
  • 取り扱う章

  • 第一章 混じり合う言葉
  • 第二章 デジタルなバグ、身体のバグ
  • 第三章 世界を作る
  • 第四章 環世界を表現する
  • 第五章 場をデザインする
  • 第六章 関係性の哲学
  • 第七章 開かれた生命
  • 第八章 対話・共話・メタローグ
  • 第九章 「共に在る」ために
  • 第一章 混じり合う言葉

    わたしたちはこの世に生まれ落ちたあと、どのようにして世界と関係をむすぶのだろう。(p.18)

    • ことば・コミュニケーションに着目

    • 日本語と仏語

    第一章: 日本語と仏語

    [前略] 他の生物と異なり言葉を使う人間には、生物学的な環世界の上に、時間と空間を抽象化して扱う言語的な環世界が重ね合わされているといえる。 (p.20)

    • 環世界: “生物がその感覚器官によって主体的に知覚し、直接働きかけることができる環境のこと”(小学館,デジタル大辞泉)

    • 環世界(ユクスキュル); 領土(ドゥルーズ); クオリア(認知科学)

    第一章: 日本語と仏語

    フランス語と日本語の世界を往復している間に、アルファベットの文字が人格を持つように感じる、奇妙な共感覚が芽生えていった (p.31)

  • フランス語/日本語
  • 表音文字/表意文字
  • 第一章: 日本語と仏語

    言語的相対論に拠って立てば、言葉とは、現実絵世界の現象を無意識から意識へと受け流すための「受容体」として捉えられる。 (p.32)

    [前略] 知覚された情報が言葉という受容体によって意識の俎上にあげられることで人間の環世界が立ち現れる様子が見えてくる (p.33)

    • ”無意識は言語学の条件”・“言語は無意識の条件” (ラカン)

      • 身体; 無意識/言語; 意識の双方向フィードバック

    • 「儚い」/「èphèmère」

    第二章 デジタルなバグ、身体のバグ

    • ゲーム言語と吃音

    第二章: ゲーム言語と吃音

    [前略] ゲームのなかに立ち現れる未知の環世界を吸収していく興奮は、異なる言語世界を開拓していく際に得られる悦楽と同質なのだと気づく。[中略] ゲーム世界の分身と自分の身体がフィードバックし合うループと、言葉をつかってしゃべったり文章を読み解いたりする行為は、構造的に相同していた。(p.40-41)

    • ゲーム言語

      • 体験を媒介するものとしてのゲームの言語性

    第二章: ゲーム言語と吃音

    [前略] ゲームが「バグる」と、[中略] まるで世界そのものにヒビが入ったかのような、奇妙なクオリアが生じる。現実を支える地面がバラバラに崩壊してしまう恐怖と同時に、その裏側に潜む妖艶な別世界の入口が開く興奮も覚えた(p.42-43)
    • プログラミング言語

    • グリッチアート(Glitch Art)

    • 防ぐべき/アート としてのバグ

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    第二章: ゲーム言語と吃音

    こどもの頃は、自分の吃音を修正すべきバグとして認識してきたが、今となっては自分がものを考え、表現するうえで欠かすことのできない道具の一部という感覚すらある。(p.49)

    • “吃音という、制御不可能な「他者」との対話” (p.49)

      • 制御不可能・わかりあえないという意味での他者性

    • 飽き性な性格ゆえ、話の脱線に吃音を利用

    第二章: ゲーム言語と吃音

    コンピュータの世界では取り除かれるべきバグやエラーというものが、身体という生命的な次元においては、予想もしなかった価値を生む。物理的な不都合によって、自分を自分たらしめる創造のきっかけが生まれる。(p.50)

  • ゲームのバグ・身体的なバグ
  • バグ=わかりえなさを受け止め
      上手くつきあうことが可能
  • (この章の最後の一文すごく名文なのでぜひ読んで味わってください...)
  • 第三章 世界を作る言語

    • 話し言葉→書き言葉(→非言語へ)

    • 正反合と守破離

    第三章: 正反合と守破離

    • フランス; 哲学; 正反合

      • ”テクニック[技法]よりもメッセージ[意味内容]が優先”(p.58)

    • 日本語; 身体; 守破離

      • ”武道における型とは、具象化された意味内容”(p.59)

    • こうしてみると、ヨーロッパ的弁証法と日本的武道の世界認識法はそれそれ、かなり異質な環世界を生成している(p.60)

    • 文字としての差異にも特徴が現れている

    第三章: 正反合と守破離

    • 書かれた意味内容だけでなく、構造に十分な強度があれば、たとえ意見が異なっていてもコミュニケーションの回路は開ける。(p.66)

      • 意見の相異=わかりえなさを超えてコミュニケーションを行う余地

    • [前略] 言葉でしか記述できない事象もあるが、言葉の網からこぼれ落ちる事象もまた、世界には満ち溢れているということだった。(p.69)

      • 非言語的な言語・コミュニケーションとしての「芸術」・「創作」へ(→第四章)

      • 正反合から守破離へ

    第八章 対話・共話・メタローグ

    • 共話とメタローグ

    第八章: 共話とメタローグ

    • グレゴリー・ベイトソン
      (Gregory Bateson)(1904-1980)

    • 生物学から出発し、文化人類学、情報工学・サイバネティクスへ

    • 父は遺伝学者、妻;マーガレット・ミード,娘;メアリー・キャサリン ベイトソンは共に人類学者

    • 「ダブルバインド」「メタローグ」など、コミュニケーション学に貢献

    • 「情報とは差異を生む差異である」

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    第八章: 共話とメタローグ

    • メタローグ: 「話者同士の関係性に応じて内容が決定する、対話形式の文章」(p.164)

      • “後期の著作で頻繁に登場する、想像上の親子の形式をとった一連の文章”(p.163)

      • “「個体ではなく関係性から出発する思考」を、ベイトソンが自らの執筆作業において実践した痕跡”(同上)

      • 内容・結論をあらかじめ定めずにはじめる対話形式の文章記法

      • 父-娘の関係性による対話内容の変化・対話による関係性の変化

    第八章: 共話とメタローグ

    • 対話; 西洋/共話; 日本

      • 共話: “話者同士が互いのフレーズの完成を助け合いながら進める会話様式”(p.178)

      • A:「今日の天気さぁ」
        B:「うん、本当に気持ちいいねぇ」

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    第八章: 共話とメタローグ

    • 共話・メタローグの意味

    • 自らの認識方法を変えることで、相手との関係性を設計する (p.173)

      • 個々の環世界から関係性の環世界へ

    • 自他の境界が曖昧になる

    まとめ

    • 本書のテーマ: わかりえなさをつなぐ

      • 他の言語のわかりえなさ

      • 吃音のわかりえなさ

      • 意見の相違わかりえなさ

      • 個々人としてのわかりえなさ

    余談: 関連図書

    • テッド・チャン
      『あなたの人生の物語』
      (映画「メッセージ」)

    • (本書でも取り上げられており、全体の著述スタイルも半ばそれを踏襲したものになっている気がするのでぜひこっちも読んで/見てほしい…)

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