第二回とじょかすが 『図書館情報学概論 第1版』1,2章; 発表者: 清宮
- 各回の流れ:
- 発表者が担当範囲の要約・発表
- 質疑・議論: e.g. 発表の疑問点・本についてのコメント共有事項・LIS一般についての疑問 etc…
- 発表者は事前に資料を公開;
- 質問者は公開資料をもとに事前に質問を共有;
- できるといいなあ
- 目次:
- 各回の流れ
- 本発表の範囲:
- 序文
- 第1章 情報学とは何か:学問分野・専門職
- 第2章 情報の歴史:ドキュメントを巡って
序文: 日本語版の序文, 序文, 日本語版第2版への序文, はじめに, 序文 意味資本のキュレーター
- 日本語版の序文:
- 図書館学とドキュメンテーション→図書館情報学
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図書館情報学は、こうしたドキュメンテーション由来の情報学が、図書館学と本質的に同じ対象と課題を扱っている、との認識から、両者を統一的に捉えることばとして1960年代に登場した。
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- 図書館学とドキュメンテーション→図書館情報学
[p.i] - 図書館学とは? - ドキュメンテーションとは? - 共通の対象・課題とは? - 図書館情報学=情報学 - 情報技術・インターネットの登場・発展で分野拡大
- (日本語版第2版への序文):
これまでの図書館情報学を振り返る上で初版もいまだに有用である。[2版 p.vi] - (2版) 序文 意味資本のキュレーター:
- 二重の責任の混同:
- あるエージェント(e.g. 情報学, 図書館)が独力である作業を行える状態の場合、そのエージェントは;
- その作業をしなければならない
- 独力で作業を遂行しなければならない
二重の意味で自身の役割を倫理的に担わされている[2版 p.xix]- 仮に後者が成立しない場合でも前者は成立しうる
- あるエージェント(e.g. 情報学, 図書館)が独力である作業を行える状態の場合、そのエージェントは;
- 意味資本のキュレーターとしての情報学
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拡張する情報空間(情報圏)やあらゆる増大する意味資本をキュレートするために情報学を必要としている。[2版 p.xix]
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情報学は、よりいっそう必要とされていることに対して全責任を負うと同時に、もはや単独では十分でなく、より広範な利害関係者の集団との連携により学際的になることが真剣に求められているものに対しても、追加の責任を負っている。[2版 p.xx]
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- 二重の責任の混同:
第1章 情報学とは何か:学問分野・専門職
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情報と機械の間のみに限定した小さな情報学の枠には閉じ込めないでおこう。〔中略〕私たちが行きているこの世界は、まさに情報の世界だからだ。 (Wilson, 2010)
- コメント かっこいい
- 情報とは
- 計算機科学(CS)に関わる情報: ビット、バイナリ etc..
- 物理学に関わる情報: エントロピー etc…
- 図書館情報学(LIS)に関わる情報:
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ドキュメントに記録された情報、意味や知識と関係するものとしての情報学
- ドキュメントに記録
- 意味や知識
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- 情報学とは
- 合意された定義はない
情報学は、明らかに、学問領域であると同時にまた専門職の実践領域でもある。[p.3]- アカデミック/プロフェッション
- 非科学的という批判
- 複数形としての情報学: information sciences
- これらを踏まえた著者による定義
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情報学は研究領域の一つとしてもっともよく理解される。その関心対象は人間が記録した情報であり、領域分析の観点から、コミュニケーション連鎖を構成する各要素について研究するものである。 [p.4]
- 記録した情報: ドキュメント・記号と関わるものとしての情報; (Bates, 1999)
- 研究領域(研究領野): (Hirst, 1974)
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何れあれ研究に役立ちそうな知識体系を用い、ある興味関心事に焦点を当てること [p.3]
- 学際性の強調/独自性の曖昧さ
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- 領域分析(ドメイン分析): cf. Hjørland (ヨーランド, ヤオラン); 詳しくは第5章
- コミュニケーション連鎖: cf. Robinson
- 情報の作成・流通・組織化・検索・利用・保存・廃棄
- コメント 情報のライフサイクルみたいな?
- (Floridi, 2021)
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- 理系?文系?
- 多用な位置づけ: 科学と人文学の仲介との意味ではかつての哲学と役割を共有する可能性も
- 社会科学の一つという見方:
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領域分析は、人々が集団として、情報に関して共通の行為を行い、利害関心を共有しているという考え方に基づく(この意味で、社会理論の一つといえる)。 [p.5]
- コメント 歴史的にはSheraの社会認識論など、社会と関わるものとしてのアプローチが多い気がする
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- 情報に関する応用哲学…(?)
- 合意された定義はない
- 情報学の構成要素・基本概念
- 軽量情報学、情報検索、情報管理、図書館・アーカイブ研究が主たる構成要素
- 他にも; HCI・情報リテラシー・情報管理・ドキュメンテーション・図書館経営・ナレッジマネジメント・情報の組織化・情報社会研究・ビブリオメトリクス・情報探索・情報検索 etc…
- 関連領域:
- 情報専門家: 専門的な主題知識を有する情報技術者 e.g. 医者ではなく医療情報専門家
- ドメイン分析におけるドメイン
- コレクション: GLAM(美術館・図書館・公文書館・博物館); 詳細は12章
- コメント 図書館もこれから日常の実用というよりは貴重資料のアーカイブなど他のGLAM領域と同じような、キュレーションの伴う施設となる方向性もありそう
- 技術: 情報検索やリポジトリ、HCIなど; 詳細は7章
- 社会: 社会科学としての情報学や情報社会論; 詳細は11章
- コミュニケーション: 情報の伝達, ジャーナリズム・出版, DHなども; 詳細は10,13章
- コメント コミュニケーションにおける情報は動的なフローって感じだが、上の定義での静的なストックとしての「記録された情報」と矛盾しないだろうか
- 経営管理及び意思決定: 情報管理・政策; 詳細は12章
- 情報専門家: 専門的な主題知識を有する情報技術者 e.g. 医者ではなく医療情報専門家
- 情報学の独自性
- 独自性: コミュニケーション連鎖全体に関心を持つ
- 大きな問い:
- 記録された情報世界の特性や法則; 人間と情報の関係; 効果的な情報の利活用
- 情報の理論はいかにして実践に応用・転換できるか etc…
- 情報学の歴史:
- 図書館学・コミュニケーション革命・ドキュメンテーション・専門図書館での科学技術情報を扱う情報業務・情報技術の機械化
第2章 情報の歴史:ドキュメントを巡って
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見るのは記録された情報と、情報を運ぶドキュメントの発展である。 [p.20]
- あくまで本書を読み進めるうえでの背景知識としての情報を時系列にそって扱う
- 情報についての歴史研究は、複数の観点・アプローチでなされている; 多義性
- 一般的に情報コミュニケーション技術の発展として見るのが多いが、実際の歴史は多様かつ複線的
- 前史・古代:
- 口語から文語へ
- 壁画: 4万年前と推定
- 記号やシンボルによる記録
- 時間を超えたコミュニケーションの実現
- 携帯可能な石に記録: B.C.5000年
- 持ち運び可能: 空間を超えたコミュニケーション
- 文字・記号・シンボル: 世界全体では5000年以上前から; 西洋メソポタミア・エジプトではB.C.3300年頃
- メソポタミア: 楔形文字; エジプト: ヒエログリフ
- メディア: パピルス紙; 粘土板
- 古代においても情報インフラの諸要素を見出すことができる:
- コレクション;
- 物理的な空間に様々な資料が配置・作品に関する記録・目録や分類などの組織化
- 古代ギリシャ・ローマ時代と中世
- 文字: アルファベット; メディア: パピルス紙→羊皮紙
- エジプトのアレクサンドリア図書館: 人類知識を包含; 蔵書目録や文献の手引など
- 文字以外の記号: インド・アラビアの数学記号
- イスラム: 他言語の翻訳; 知恵の館; 9世紀
- 西洋: 12世紀ごろ
- ギルド・大学などの成立で翻訳・複製の需要
- 中国から製紙技術の伝来
- 印刷技術よりも前に出版産業が成立していたともいえる
- コレクション: 王宮→国立図書館・大学図書館
- 簡単な相互貸借のための目録
- 印刷の時代
- 15世紀半ば: 中国から活字技術が欧州へ
- 1455: ヨハン・グーテンベルク; 活版印刷→後の情報爆発へ
- 1545: コンラート・ゲスナー; 『世界書誌』; 当時の20%ほどを収録; 同時期に分類体系がいくつか考察される
- 18世紀: 印刷技術向上; 参考図書の登場
- 19世紀
- マスコミュニケーションの時代
- 蒸気印刷・蒸気機関: 情報流通環境の基盤
- 1830年代: 電報; 40: 郵便; 70: 電話
- チャールズ・バベッジ: アナログコンピュータ
- 図書館・情報サービス:
- 1876: メルビル・デューイ; 十進分類
- Index Medicus: 抄録索引
- カード目録
- 20世紀
- 文字以外のアナログドキュメント: 写真・映像テープなど
- パンチカード・ブール演算による検索・ドキュメンテーションの機械化
- ポール・オトレらによるドキュメンテーション運動: 国際的な書誌コントロール
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